AI時代にあえて「無駄」を楽しむということ

YouTubeの動画を倍速で見たり、「10分でわかる○○」といったまとめ記事をつい読んでしまったりすること、ありませんか?

今はとにかく「タイパ」が重視される時代ですよね。 そんな現代の空気感を切り取った話題の本、『ファスト教養 10分で答えが欲しい現代人』(レジー著)を読みました。

この本は、私たちが「失敗しないため」「手っ取り早く正解を知るため」に、いかに教養を”ファストフード”のように消費しているかを考察した一冊です。

読みながら、私自身も少しハッとさせられつつ、ふとこんなことを思いました。 「でも、効率よく正解を出すことって、今はもうAIが一番得意なことだよな」と。

「考える」手前にあるもの

最近、ビジネス書などで「○○思考法」といった言葉をよく見かけます。 もちろん論理的に考えることは大切ですが、その手前には、もっと大切な「感覚」がある気がしています。

私は毎朝、愛犬と散歩に行きます。 ルートはだいたい同じですが、一日として「まったく同じ日」はありません。 昨日はなかった花の香り、風の冷たさ、雲の形、犬が立ち止まる場所。そんなちょっとした変化(ノイズ)に気づくのは、理屈ではなく「五感」です。

これって、タイパの視点から見れば、すごく「非効率」なことなんですよね。

たまには「ノイズ」を愛してみる

スマホなどのデジタル技術は、曖昧なものを「ノイズ」として綺麗に取り除き、最短距離で答えまで連れて行ってくれます。それはすごく便利で、ありがたいことです。

でも、私たちの日常の中にある「泥臭い人間関係」や「答えが出ないモヤモヤ」、「ちょっとした寄り道」といった非効率なノイズの中にこそ、実は人間らしい豊かさが隠れているのかもしれません。

AIが何でもすぐに要約して、正しい答えを出してくれるこれからの時代。 人間である私たちは、少し肩の力を抜いて、あえて「無駄なこと」を楽しんでみてもいいのではないでしょうか。

効率ばかりを追いかけて少し疲れたな、と感じたとき。 レコメンドや要約サイトからではなく、本屋さんで感覚で選んだ本をじっくり読んでみる。レビューサイトで評価が優れたお店ではなく、嗅覚を頼りにお店に入ってみる。目的もなくカメラを持って街を歩いてみたりするのも、悪くないなと思います。